コッペパン

 

私はとにかく忙しい

あいつが休むというから、私もレジに立たないといけない

どうせサボりだわ

あと商品の在庫も確認しないと

確か雑誌の新刊も搬入される日だったわね

あんなクズ学生がいなくても、私一人で十分

むしろいない方が効率がいい

私はなんだって一人でできる

 

だから本当に良かった

とても忙しくてあなたなんかに会ってられない

ちょうど良かった

あなたなんかに必要とされなくても、私を必要としてくれる人はたくさんいるんだもの

私がいると助かるって仕事仲間はみんな言ってくれる

常連のお客様だって私と話すことが一日の始まりだって言ってくれる

 

朝食を食べ損ねた

昨日、食パンを買ったが、私には焼いてジャムをぬる暇なんてない

だから108円のコッペパンを電車の中で口の中に入れる、そして飲み込むの

 

向かいに座っている赤ん坊が私を不思議そうに覗き込む

私はその純粋な瞳が怖くて、気づかないふりをする